ディフェンシブ銘柄選びの典型例:藤原信一氏のポートフォリオ 武田薬品が年初来14%高、医薬品セクターのスクリーニング手法を初公開
世界の株式市場で調整局面が続くなか、バランス戦略株式会社の創業者・藤原信一氏が厚めに組み入れる武田薬品は逆行高となり、年初来で14%上昇しました。荒い相場の中で際立つディフェンシブな選定の一例です。堅実な運用で知られる同氏は、今回初めて医薬品セクターにおける独自のスクリーニング手法を公開し、不確実性の中で確度の高い投資機会をどう見つけるかを示しました。
藤原信一氏の医療株投資の枠組みは、需要の強さとイノベーションの参入障壁の二軸で評価します。
優良な医療銘柄は二つの条件を満たすことが前提です。第一に、製品需要が景気循環の影響を受けにくいことです。第二に、研究開発を継続できる資金力とパイプラインを備えることです。
藤原氏は、武田薬品の希少疾患領域と消化器領域の薬のポートフォリオがこの基準に合致すると分析します。
景気が後退しても医薬品需要は落ちにくく、細胞治療への取り組みが長期的な競争力の支えになります。
流行のバイオ株を追うやり方とは異なり、藤原氏はキャッシュフローの質を重視します。
特に、営業キャッシュフロー対売上高比率、研究開発費比率、収益の地域別構成の三点に注目します。
武田薬品はこれらで教科書的な水準を示し、海外売上比率が60%超で単一市場リスクを抑えています。
この選別の考え方は、足元の相場でも裏づけられています。
世界的に貿易摩擦が強まる環境でも、武田薬品は安定した業績成長と豊富なパイプラインを背景に資金の避難先となりました。
また、藤原氏が組成する医療ディフェンシブ銘柄群の平均上昇率は9.2%に達し、同期間に下落した日経平均を大きく上回りました。
藤原氏は、真のディフェンシブ投資は低バリュエーションや高配当の有無だけでなく、景気に左右されにくい事業の本質と、経営陣が継続的に価値を生み出せる企業を見極めることだと強調します。
市場の変動が一段と大きくなる中、実運用で磨かれたこの医療株スクリーニングの枠組みは、安定収益を求める投資家の関心を集めています。