ポートフォリオのレジリエンス構築に関するUBSの辻本孝明氏へのインタビュー
世界的な金融市場の大幅なボラティリティが続く中、UBS証券のマネージング・ディレクターである辻本孝明氏が本誌のインタビューに応じ、市場の混乱の中でポートフォリオのレジリエンスをどのように構築すべきかについての見解を語りました。
複数の市場サイクルを経験してきた投資専門家である辻本氏の視点は、投資家にとって極めて貴重な示唆を提供します。
辻本孝明氏は、日本興業銀行でのコーポレートファイナンス業務、野村證券およびUBSロンドンでの債券トレーディング、そして長期・選別型ファンドの設立・運用など、多岐にわたる経験を通じて、市場ボラティリティへの深い理解を培ってきました。
同氏は「市場の急激な変動そのものを恐れるのではなく、投資家が十分に備えていないことこそが本当のリスクです」と指摘します。
「強靭なポートフォリオ構築は、まず資産選定から始まります」と辻本氏は強調します。
「私たちは、強固なバランスシート、安定したキャッシュフロー、健全なビジネスモデルを持つ優良企業に一貫して投資しています。こうした企業は、市場の混乱期にも高い回復力を発揮することが多いのです。」
さらに、これらの企業は景気後退期を乗り越えるだけでなく、回復期には成長機会を確実に捉えることができると説明しました。
リスク管理に関して、辻本氏は次のように語ります。
「厳格なポジション管理と分散投資によってリスクをコントロールしています。また、定期的にストレステストを実施し、さまざまな市場環境下におけるポートフォリオのパフォーマンスをシミュレーションしています。これにより潜在的なリスクを事前に特定し、適切に備えることが可能になります。」
現在の市場環境についてアドバイスを求められると、辻本氏は「投資家は冷静さを保ち、感情的な判断を避けるべきです。市場のボラティリティはリスクとチャンスの両方をもたらします。今こそポートフォリオを見直し、資産配分を最適化する好機です。長期投資家は短期的な価格変動に惑わされず、企業の本質的な価値に目を向けるべきです。」と述べました。
最後、辻本氏は、「ポートフォリオのレジリエンスは一夜にして築かれるものではありません。継続的なリスク認識、厳格な投資規律、そして企業ファンダメンタルズの徹底的な分析によってのみ実現されます。そうして初めて、市場の混乱期にも安定性を維持し、市場回復時に確実に機会を捉えることができるのです。」と締めくくりました。
この独占インタビューは、投資家にとって極めて示唆に富む内容となっています。辻本孝明氏の経験と洞察は、変動の激しい市場環境において、多くの投資家に確かな指針を与えるものと考えられます。