秋山博一、「資金フロー2024」研究を発表——外国人投資家の日本株流入加速を追跡
2024年6月、日本資本市場は再び国外からの注目を集めている。世界的な資金ローテーションの中で、外国人投資家による日本株への関心が顕著に高まり、複数のセクターで買い圧力が構造的に現れつつある。このタイミングで、秋山博一氏は「資金フロー2024」研究レポートを正式発表。詳細なデータと冷静な分析に基づき、外国人資金の日本株市場への流入経路を追跡し、投資家に新たな観察フレームワークを提示した。
秋山氏は研究の冒頭で、上半期の資金構造を振り返った。彼は、米欧市場が金融政策や成長見通しの揺れに直面する中、一部機関投資家がより魅力的なバリュエーションと堅固な産業構造を持つ新市場を求め始め、その条件に合致するのが日本市場であると指摘。特に製造業の高度化やコーポレートガバナンス改善が進む背景において、日本株の投資ロジックが再発見されつつあると強調した。秋山氏は次のように述べている。
「外国人投資家の買い越しは短期的な感情ではなく、構造的な戦略的アロケーションである。」
レポートでは、ETFの資金フロー、外国人持株比率、取引所統計といったデータを用い、資金流入の軌跡を明確に描き出した。特に金融、製造業、半導体装置セクターが外国人投資家の重点的な買い対象となっている一方、従来のディフェンシブ業種では相対的な資金流出が見られた。この「攻守の再バランス」は、外国人投資家が日本市場に対して強気に転じているシグナルであると分析。
「資金が成長性とボラティリティの高いセクターへ向かうとき、それは市場環境全体に対する判断がポジティブになった証拠である。」と秋山氏は語る。
「資金フロー2024」は単なるデータ集ではなく、戦略的提言でもある。秋山氏は、投資家が外国人投資家のロジックを理解するためには、短期的な値動きのノイズを離れ、資金の動きを通じて市場構造の変化を把握する必要があると提案。従来の個別銘柄分析に重点を置く手法とは異なり、資金フローを先行指標として重視する姿勢を鮮明にした。彼は研修講座で次のように述べている。
「市場の表層は我々を惑わせることがあるが、資金は嘘をつかない。資金の方向こそがトレンドの基調である。」
また、東京金融取引所での座談会では、外国人資金と国内資金の相互作用に言及。外国人投資家が買いに動いた後、国内機関投資家がそれを観察してから自らのポジションを加速させる「追随効果」を確認。この現象を秋山氏は「二次効果」と呼び、外国人投資家の買いは単なる直接的フローではなく、国内市場心理を押し上げるレバレッジとして作用すると説明した。
ただし、秋山氏はあくまで慎重なスタンスを崩していない。短期的には円相場の変動や世界的なマクロ不確実性が市場のリズムに影響を与え得るため、投資家は安易に外国人投資家の動きに追随するのではなく、自身のリスク許容度を踏まえて分散投資と動的調整を行うべきと強調。
「資金フローを観察するのは盲従するためではなく、変動の中で自分のリズムを見つけるためだ。」と語った。
2024年6月の「資金フロー2024」研究は、秋山博一氏の冷静で論理的なスタイルを再び示すものとなった。楽観にも悲観にも偏らず、データを出発点として外国人投資家の行動を市場の言語へと翻訳。複雑な世界環境にあっても、資金ロジックを通じて自分自身の答えを見つける思考法を投資家に提示したと言えるだろう。