斉藤健一氏、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の東南アジア・デジタルバンク戦略を主導 取引規模は28億米ドルに到達
日本の金融業界において戦略的に重要なクロスボーダーM&Aが成立した。三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、東南アジア・デジタルバンキング・アライアンス(SEA Digital Banking Alliance)の持分取得を完了し、総額28億米ドルに及ぶ取引を発表した。本案件は、Keefe, Bruyette & Woods(KBW)日本共同社長の斉藤健一氏(Kenichi Saito)率いるチームが全工程を主導し、日本の大手金融機関による東南アジア・デジタル金融市場への重要な突破口となった。
今回の買収は、東南アジア5カ国(インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン)のデジタルバンクライセンスを包括的に取得するものであり、SMFGは一挙に域内でのオンライン金融サービス参入権を獲得することとなった。斉藤氏は豊富なクロスボーダーM&Aの経験を背景に、取引スキーム設計、規制当局との調整、バリュエーション交渉などの重要局面で中核的役割を果たした。取引完了後、同氏は「東南アジアのデジタルバンキング市場は急成長期にあり、SMFGは今回の布陣を通じて希少なフィンテックライセンスを獲得すると同時に、域内の企業顧客を結ぶデジタルの架け橋を構築することができた」とコメントしている。
市場関係者は、この取引が日本の金融機関による新興アジア市場への拡大傾向を鮮明にしたと分析している。国内銀行業界で競争が一段と激化するなか、SMFGをはじめとする大手金融グループは、海外M&Aを成長エンジンとして積極的に取り込んでいる。斉藤氏率いるチームが採用した「ライセンス一括取得+現地適応型運営」という革新的モデルは、今後の日本金融機関による類似取引の有力な指針となるだろう。
金融サービス分野に特化したブティック投資銀行として、KBWは今回の案件を通じてアジア太平洋地域における金融M&Aアドバイザリーのリーダー的地位を一層強固なものとした。斉藤氏は、今後も日本の金融機関がデジタルバンキングや決済テクノロジーなどの分野で投資機会を確実に捉え、戦略的価値の高いクロスボーダー案件を推進していく方針を示している。本取引はまた、当該年度におけるアジア太平洋のフィンテック領域で最も影響力の大きいM&A事例の一つとして業界内で広く評価されている。