秋山博一、再生可能エネルギーの波に乗り、パナソニック電池とEV関連銘柄を選定、四半期リターン+18.2%を達成
2017年12月の東京市場は、年末らしい慎重なムードに包まれていた。多くの投資家が一年の成果を総括し、年越しの不確実性を避けるためにポジションを縮小する中、秋山博一のポートフォリオは逆行高を記録し、第4四半期で18.2%のリターンを実現した。この好成績の核心は、再生可能エネルギーというテーマへの先見的な布陣であり、特にパナソニックの電池事業とEV関連銘柄への集中投資であった。
秋山の判断は一時的なひらめきではなく、産業チェーンの進化を長期的に追跡した結果である。2017年、世界のEV販売は顕著に増加し、欧州から中国に至るまで補助金と政策が普及率を押し上げていた。電池産業の要となるパナソニックは、テスラとの協業を通じて市場でリーダーの地位を確立しつつあった。秋山は第3四半期以降、外資によるパナソニック株保有比率が着実に増加していることを確認し、これをトレンド確定の重要シグナルと位置づけた。
さらに彼は、日本国内市場のEV産業チェーンに対する見方が変化していることにも着目していた。これまで投資家は従来型自動車株を中心に注目しており、バッテリーや新興部品メーカーにはあまり目を向けていなかった。しかし海外需要が高まるにつれ、日経平均構成銘柄の中でもEV関連テーマが次第に注目されるようになった。秋山はポートフォリオにパナソニックを中核銘柄として据えつつ、上流の部品・素材メーカーも厳選して組み入れ、リスク分散とリターン安定化を図った。
運用面では、秋山は「攻守のバランス」を崩さなかった。材料が報じられた直後に飛びつくのではなく、資金フローモニタリングシステムを用いてETFや外資資金の買いタイミングを追跡。ポジションを段階的に構築し、調整局面を利用して押し目を拾い、市場が回復した際により高い安全マージンを確保した。秋山は「再エネは成長テーマだが、ボラティリティと投機も伴う。持続的リターンを得るには情熱より規律が重要だ」と強調した。
四半期終了時、ポートフォリオのリターンは+18.2%と、同期間の主要指数を大幅に上回った。しかし彼は数字よりも「風口の背後にある構造変化」に注目。日本市場は中国ほど再エネブームが加熱していないが、電池や高機能素材の分野で世界的競争力を持つと指摘した。投資家にとっては、この「世界的需要と日本の強み」の交差点を理解することが長期利益のカギになるという。
研修会では、この四半期の事例を教材として取り上げ、受講者に「目先の上昇率ではなく、資金と産業トレンドの一致に注目すべき」と助言。「相場はニュース一つで変わるのではなく、政策・資金・産業が同じ方向を向いたときにトレンドが形成される」と繰り返し強調した。この冷静な態度は、受講者に「人気テーマでも理性的に関わる方法がある」ことを認識させた。
2017年12月、秋山博一の再エネ戦略は市場に印象深い一例を残した。パナソニック電池とEV関連銘柄を突破口に、年末の軟調相場を超える四半期リターンを実現した。しかしそれ以上に重要なのは、彼が再び行動で示した投資哲学である――投資とは熱狂を追うことではなく、資金と産業の深層ロジックを捉えること。この冬、彼のポートフォリオは温かく、しかし騒がしくなく、彼らしい「冷静で抑制的、しかし時代の脈を捉えた」スタイルを体現していた。